† ハプトグロビン †
〔haptoglobin〕
ハプトグロビン 基準値:19〜170mg/dl〔TIA〕


ハプトグロビンはα2‐グロブリン分画に相対易動度をもつ蛋白であり、溶血の際に血中に遊離するヘモグロビンと結合するため、血中濃度は著しく低下する。
肝臓障害時は障害程度により、アルブミン・凝固因子などとともに産生が低下し、血中濃度は低値を示す。
また、ハプトグロビンは急性相反応物質のひとつでもあり、感染、炎症性疾患、悪性腫瘍などでは血中濃度は上昇する。


<特徴>

● ハプトグロビンが遊離のヘモグロビンと特異的に結合する
● 血液型のように遺伝によって決定される主な3つの型が存在する〔1‐1型、2‐1型、2‐2型〕
● ハプトグロビン値は病態において特徴的な変動を示し、特にハプトグロビン値の異常低下は特定の病態に限られるので診断的意義が大きい。

ハプトグロビンの異常低値または欠如を示す代表的な疾患は、溶血性貧血である。
赤血球の寿命は約120日で、赤血球が壊されるとヘモグロビンが放出されるが、血中のハプトグロビンはすぐにヘモグロビンと結合し、分子量の大きい複合体を造り、速やかに網内系細胞に取り込まれ、ヘモグロビンに含まれている鉄が再び利用される。
血管内の溶血が亢進する溶血性貧血では、ハプトグロビンのヘモグロビン結合体より高くなると、複合体が全て網内系細胞に取り込まれ、ハプトグロビンは血管内から消失する。
溶血性貧血に次いで、ハプトグロビンを産出する肝細胞がびまん性に破壊される場合があげられる。
急性肝炎、劇症肝炎、慢性活動性肝炎、肝硬変などのびまん性肝疾患では肝におけるハプトグロビンの合成が低下すること、また、ハプトグロビンの寿命が短い〔半減期約3日〕ため、ほかの蛋白成分に比べ血中ハプトグロビン値は著しく低下し、欠損することが少なくない。

ハプトグロビンはCRPなどと同様に急性相反応蛋白の1つである。急性炎症や手術による侵襲などによりCRPよりも約1日遅れて上昇し、2〜4日で異常高値を示す。
炎症や癌では、CRPなどと同様に上昇するが、その機序は炎症や癌などで破壊された細胞成分がマクロファージによるインターロイキン6の産生を促し、それが肝細胞でのハプトグロビン合成を促進すると考えられている。


<高値疾患>

● 各種炎症性疾患、悪性腫瘍、ネフローゼ症候群など


<低値疾患>

● 溶血性疾患、肝炎、肝硬変、先天性欠損症など


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基準値(正常値)は計測機器によって多少の違い(誤差)があります。各病院の検査データ基準値を目安にしてください。
また、表示単位が異なる場合は基準値が全く違う場合もありますので、検査値が大幅に違うときは同じ単位で表されているかも確認してください。

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