† APTT †
〔activated partial thromboplastin time〕
活性化部分トロンボプラスチン時間 基準値:20.5〜37.0秒


<血液凝固機序>


トロンボプラスチンとは、血液凝固因子の1種で、プロトロンビンをトロンビンに変化させる。
通常、血液中で生成され、これを血液完全トロンボプラスチンあるいは内因性トロンボプラスチンとよぶ。
一方、血管外の組織にも存在し、これを組織完全トロンボプラスチンあるいは外因性トロンボプラスチンとよんで区別する。
実際の凝固では血漿、血小板、組織から由来するものが混和し凝固を促す。

止血は、血小板と血液凝固因子により血栓が形成され、その安定化が行われることにより遂行される。
血液凝固因子は現在14の因子が知られているが、内因系と外因系の凝固因子が活性化されると共通系凝固因子〔プロトロンビン→トロンビン→フィブリノーゲン〕が活性化され、フィブリンを形成し、血液を凝固する。

出血性素因の診断として、上記に示した止血機能と血液凝固全体を適切に反映させる単独の検査はなく、種々の検査を組み合わせてその異常を明らかにしうる。
トロンボテスト・プロトロンビン時間・ヘパプラスチンテストは、外因系凝固の異常の検査として用いる。
活性化部分トロンボプラスチン時間は内因系凝固の異常の検査として用いる。
出血時間は、血小板数・血小板機能・血管壁機能の異常を知ることができる。
凝固時間は、主として内因系凝固の異常をスクリーニングする。

外因系凝固因子の異常はプロトロンビン時間でスクリーニングし、経口凝固療法〔ワルファリン等〕のモニターにはプロトロンビン時間・トロンボテストを用い、そして肝臓障害による外因系凝固因子の発生異常にはヘパプラスチンテストが用いられている。
内因系凝固因子の遺伝的欠損症の代表的疾患は、血友病である。


<看護にとっての意味>

部分トロンボプラスチン時間〔PTT〕の延長時は、血液凝固因子の欠乏あるいは凝固障害によって出血しやすい状況にある。
代表的疾患は、血友病A〔凝固第[因子欠乏〕、血友病B〔凝固第\因子欠乏〕である。
深部組織への出血〔関節内出血・筋肉内出血・皮下血腫〕が特徴的であり、抜歯や外傷時の止血困難で発見されることが多い。


<疾患の解説>

●血友病
血液凝固第[因子〔血友病A〕または第\因子〔血友病B〕が先天的に欠乏しており伴性劣性遺伝の形式をとる先天性疾患のことである。
血友病A・Bともに症状は同じで、鼻出血・抜歯後の出血過多・打撲後の皮下または筋肉内血腫・血尿などの出血傾向がその主症状である。
凝固時間と活性化部分トロンボプラスチン時間の延長を認めるが、出血時間・血小板数・プロトロンビン時間などは正常で、血友病AまたはBでは、それぞれ第[因子または第\因子活性が低下している。

●von Willebrand 病
血小板の粘着に重要な役割を果たす von Willebrand 因子の量的・質的異常により、止血障害をきたす常染色体優性遺伝の疾患である。
症状は皮膚粘膜の易出血・抜歯後の過剰出血・月経過多を認めるが、血友病と異なり関節内・筋肉内出血はまれである。
出血時間の延長、活性化部分トロンボプラスチン時間の延長を認めるが、血小板数・プロトロンビン時間は正常である。


トップページに戻る 検査目次に戻る


基準値(正常値)は計測機器によって多少の違い(誤差)があります。各病院の検査データ基準値を目安にしてください。
また、表示単位が異なる場合は基準値が全く違う場合もありますので、検査値が大幅に違うときは同じ単位で表されているかも確認してください。

inserted by FC2 system